こんにちは。
摂津市、茨木市、高槻市を中心に産業廃棄物収集運搬業許可の代行をやっております行政書士いだ事務所の井田です。

大阪府の過去の産業廃棄物収集運搬業許可の取消の根拠を調べてみますと

廃棄物処理法第14条の3の2に該当する事によるもの

が平成23年5月以降の事例で9割を占めています。

廃棄物処理法第14条の3の2

1 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。

(→次の各号)

2 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が[前条(事業の停止)第二号又は第三号]のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。

(→廃棄物処理法第14条の3の2はこちら)

取消の要件をみますと

1.許可が取れる要件を満たさなくなった場合
2.事業停止を命ぜられその情状が重いとき
3.許可の不正取得や不正変更等を行った時

こういった事が挙げられています。


1.の許可要件を満たさなくなった場合に取消しとなってしまう事例について代表的な例を挙げますと
役員が人を殴ってしまった、事故により罪を科せられた等により欠格要件に該当し取消となるパターンがあります。
監査役、相談役、顧問、一定以上の株主が上記に該当した場合も同じですので注意が必要です。

万が一、取消処分となり営業ができなくなってしまうと会社に損害を与えてしまうばかりではなく個人レベルでは損害賠償請求となる可能性もあります。


また最近の有名な事例ですと
食品横流し事件で産業廃棄物処理業者が”収集運搬業積替え保管なし”での許可のみで倉庫にて保管業務を行ってたことにより三重県、岐阜県により取消処分となった事例があります。
これは[廃棄物処理法第14条の2]に義務付けられた事業範囲の変更に関する届を怠った事を根拠として上に記載の「2.事業停止を命ぜられその情状が重いとき」という判断を元に行政処分が下ったものです。

以下、三重県HP行政処分より引用

1 被処分者
省略

2 行政処分の内容
産業廃棄物収集運搬業の許可の取消し(法第14条の3の2第1項第5号)

3 行政処分の理由
法第14条第1項の産業廃棄物収集運搬業許可(積替え・保管を除く。)を有するD株式会社が、排出事業者から処分するとして受託した産業廃棄物を処分しないまま三重県いなべ市にある倉庫に運搬し保管した。
このことは、法第14条の2第1項違反(無許可事業範囲変更)となり、法第14条の3の2第1項第5号に定める法第14条の3第1号の規定に該当しその情状が特に重いときにあたるため、平成28年4月18日、法第14条第1項の産業廃棄物収集運搬業許可を取り消した。


欠格要件に該当するのも関わらず許可申請を行った場合は上記「3.許可の不正取得や不正変更等を行った時」となり五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金の対象となります。罰則は非常に重くなっていますのでご注意下さい


取消件数の推移としては平成21年には1249件であったのが翌年に800件程度になりその翌年には318件となっております。

一旦は大幅に減少はしたのですがまたそこから上昇の傾向にあります。

行政側の欠格要件に対する審査も年々強化されており、これも一つの要因となっているのかもしれません。

今後はさらにリスクマネジメントの徹底が必要不可欠と言えます。